AIの遺伝子

AIの遺電子

山田 胡瓜|YAMADA Kyuri

国民の1割がAIを持つヒューマノイドとなった近未来を舞台に、ロボットやヒューマノイドの問題を「治療」する専門医を描くSFオムニバス。主人公の医師・須堂光は、「モッガディート」という裏の名前を持ち、時には秘密裏に違法な施術も請け負う。例えば、本来違法であるヒューマノイドのデータのバックアップを取る際、妻をコンピュータウイルスに感染させてしまった男に対し、須堂はバックアップデータによって記憶を書き換える施術を提案する。バックアップデータによって換えられた存在は、果たしてそれまでと同じと言えるだろうか。人間と非人間の差異のなかに生まれる揺らぎという、古くから多くのSFで扱われてきたテーマを、医師の視点から描く。急速にAIに注目が集まる現代において、人間や社会の在り方についての考察を促す作品。作者はIT分野の元記者であり、本作にもその知識が生かされている。

[単行本・雑誌]
第21回マンガ部門優秀賞受賞作品

© Yamada Kyuuri (Akitashoten) 2015