《登壇者》
土居 伸彰(写真左)
「新千歳空港国際アニメーション映画祭」フェスティバル・ディレクター/株式会社ニューディアー代表
[土居伸彰さんプロフィールページ]
ひらの りょう(写真右)
短編アニメーション作品『ホリデイ』作者/FOGHORN所属
[ひらのりょうさん個人ページ]
やますき、やまざき
しし やまざき|Shishi YAMAZAKI
うれしい時、喜んでいる自分にまたうれしくなり、理由も忘れ、全身を巡る喜びは、悲しみや狂気までもを包括して花開く……。2013年の正月に向けて制作され、新年が幕開けるというだけで喜ばしいという「あっけらかんとしためでたさ」と、作者が日常的に感じている「理由を忘れるほどの大きな喜び」とを掛け合わせて表現した作品。
(2 min. 22 sec.)
[短編アニメーション]
第17回アニメーション部門審査委員会推薦作品
©2013 Shishi Yamazaki All Rights Reserved.
Rhizome
Boris LABBÉ
圧倒的な緻密さと極端な構図で展開される短編アニメーション作品。最小単位から無限に生成される世界は宇宙そのものであり、変容を続けるすべての要素が相関し、影響しあっている。タイトルは、フランスの哲学者ジル・ドゥルーズと精神科医フェリックス・ガタリの共著『千のプラトー』(1980)で複雑に展開されるRhizome(リゾーム)の概念からつけられている。本作では、そのリゾームの原則を網羅しながら、生物学的な意義と哲学観の考察が試みられている。作者によれば、スティーヴ・ライヒの音楽のコンセプトとエッシャーの数学的な作品、そしてボッシュやブリューゲルの絵画と、遺伝学のような生物の進化に関する理論やミクロとマクロの関係などの要素のあいだに生まれてくる何かをつくりたいと考えるなかで、このドゥルーズとガタリの概念が頭に浮かび創作につながったという。若い作者の興味と欲求を具現化した独創的な作品である。
11分25秒
[短編アニメーション|フランス]
第19回アニメーション部門大賞受賞作品
© Sacrebleu Productions
Oh Willy…
Emma De SWAEF / Marc James ROELS
『Oh Willy…』はセット内で人形を一コマごとに動かし撮影されたストップモーションムービーである。セットの大きさは室内の場面での2m角から10m角までさまざまである。小道具や登場人物はすべて羊毛や布地で制作された。ヌーディストとしてのルーツに立ち返ることを余儀なくされ、「ウィリー」は大いなる未開の世界へとぶざまに突き進んでいく。本作は、ダイアン・アーバスによるヌーディスト・コロニーの住民たちの写真にインスパイアされ制作された。それらの写真は不愉快なほど日常的でありながら挑発的で、なおかつ同じくらい詩的でもある。そのような詩情と過激で露骨なイメージとの緊迫したバランスを得るために、羊毛を素材として、ヌーディズムというテーマや「自然に生きるとはどういうことか」という問いを表現した。『Oh Willy…』はde SWAEFとROELSによる初のコラボレーションであり、現在同じ手法を用いて新たな短編アニメーションを制作中である。
(16分35秒/素材:デジタルシネマパッケージ(DCP))
[短編アニメーション|ベルギー]
第16回アニメーション部門新人賞受賞作品
© Emma de Swaef & Marc James Roels
Ugly
Nikita DIAKUR
人間やほかの動物に日々虐げられている醜い野良猫アグリーは、神秘的なネイティブアメリカンの族長と心を通わす。インターネットで話題になったス トーリーを元にした3DCGアニメーション。登場するキャラクターは、プログラム上では糸で操られることによって動くマリオネットと同じ仕組みでつくられている。
[短編アニメーション|ドイツ]
第21回アニメーション部門審査委員会推薦作品
© Nikita Diakur
ホリデイ
ひらの りょう|HIRANO Ryo
まるで襖絵に描かれたような立派な松の木が佇む中、山々を繋ぐロープウェイが賑やかに行き交うも、どこかひなびた空気の漂う行楽地。そこに登場するのは、耳に姿を変えてしまう女の子、黄色い姿の裸の男、人間のように歩くイモリたち。共に行動を開始する3人は湖のほとりに設けられた野外ステージで演奏を始める。日本の妖怪を彷彿とさせる不思議な世界の住人たちを、じっとりとした湿度に満ちる唯一無二の世界観で描き出している。
(14分16秒)
[短編アニメーション]
第15回アニメーション部門審査委員会推薦作品