夜の眼は千でございます

夜の眼は千でございます

上野 顕太郎|UENO Kentaro

1998年より『月刊コミックビーム』(KADOKAWA)で連載されている同誌最長連載のギャグ読切シリーズの単行本化作品。名作マンガや映画を題材に、高座の噺家の語りをそのままマンガにした「落語マンガ」のシリーズをはじめ、さまざまな芸術家の画風で描いた交通標識が実際に現れるナンセンスコメディや、かるた、法廷画家、テレビショッピング、シューベルトの『魔王』をネタにしたコメディ、さらに水木しげる、生賴範義、望月三起也らの追悼企画パロディなど、さまざまな趣向と技巧を凝らした読切作品、全42話が収録されている。作者は1983年のデビュー以来、『帽子男は眠れない』(1992)『ひまあり』(2000-02)など、緻密に描き込まれた作画と、不条理でシュールなギャグを得意とし、本作においても、渾身の力で放たれる、たたみかけるようなギャグ・パロディの連続に、独特の構成力・演出力が生かされている。

[単行本・雑誌]
第21回マンガ部門優秀賞受賞作品

© Kentaro Ueno 2016